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長浜ブログ

ファンドレイザー必読!『影響力の武器』

代表あいさつ

2017.4.2

3月に開催された日本ファンドレイジング協会の「ファンドレイジング日本・2017」も大盛況のうちに終了。参加者も1,500人を超え、既に来年度の講師募集も開始されているようです。私も、NPOのマーケティングについて講演をさせて頂きましたが、毎年お邪魔するたびに会場の異様な熱気に圧倒され、参加者から逆にエネルギーをもらう感覚になります。

 

既に米国ではファンドレイザーが人気の職業として確立されており、日本でもこうしてファンドレイジングに興味を持つ人がどんどん増えるのは社会的にも良いこと。だからこそあらためて読んで欲しいのが、ロバート・B・チャルディーニの『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』です。社会心理学の古典的名著ですね。

 

騙されない賢い消費者になるためという視点と、プロの手法から人を説得するための技法を学ぶという視点の両方から読めます。企業の営業マンやマーケターのみならず、NPO・NGOの寄付集めの事例も紹介されているため、まさにファンドレイザーにも非常に有益な内容です。本書では、人間心理を動かす影響力を「返報性」「コミットメントと一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」の6つの切り口で解説しています。

 

(1)返報性

他者から何かを与えられたら自分も同様に与えるように努めることを要求する。
【例】無料のイベント招待での募金箱設置、手書きのお礼状送付など

 

(2)コミットメントと一貫性

自分の言葉、信念、態度、行為を一貫したものにしたい、あるいは、他の人にそう見られたいという欲求がある。
【例】寄付者としてニュースレター・報告書等に名前掲載、Facebookで寄付してくれた人と写真撮影して投稿、など

 

(3)社会的証明

何を信じるべきか、どのように振る舞うべきかを決めるために、他の人々が何を信じているか、どのように行動しているかを見ること。
【例】イベントに多くの人が参加している写真を投稿、クラウドファンディングの寄付獲得実績の紹介、など

 

(4)好意

自分が好意を感じている知人に対してイエスという傾向がある。

【例】受益者からのお礼のメッセージを届ける、個別にお礼メッセージを送る、など

 

(5)権威

権威者に対する服従は、一種の短絡的な意思決定として、思考が伴わない形で生じてしまう。

【例】団体関係者の専門性・実績をアピール、研究者によるエンドースメント、メディア掲載の紹介、など

 

(6)希少性

人は機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす。

【例】人数・期間限定のチャリティキャンペーン、会員限定特典の提供、など
NPOをはじめとする公益組織のファンドレイジングにおいても、意識的・無意識的にこうしたことが行われています。「そういえば、確かに!」と、心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

 

これら6つの影響力が作用する瞬間を「カチッ・サー」という、まさにスイッチを入れるような表現で紹介しています。人はある事象に対して判断を行う必要が生じた際に、過去の経験や固定概念、既成概念を意識的・無意識的に拠り所としてその判断を行うということを表したものです。

 

意識せずに偶然行なっていることを意識して必然的に導き出すことが、戦略を立て実行するということだと思います。自団体におけるファンドレイジングをこの6つの切り口であらためて分析して戦略を立て、偶然「お金が集まった」ではなく、狙って「お金を集めた」というファンドレイジングを実践できるようにしていきたいものです。本書の英題は『Influence: Science and Practice』ですが、まさに”科学”的にファンドレイジングを行うということですね。この本を素材に勉強会や実践事例の共有会などやってみると良いですね。

 

ちなみに、私が持っているのは初版ですが、新訳の『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』では楽しく読めるマンガが追加され、参考事例も大幅に増量され、とても読みやすくなっているようです。両方読んだことのある方は、ぜひ感想など共有ください!

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