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Webサイトでのファンドレイジングが「失敗する」7つの理由

Webマーケティング

2017.11.24

Writer堤 大介

Webサイトでのファンドレイジングが「失敗する」7つの理由

2017年も終わりが近づいてきました。

 

年末は一年の中でも寄付が盛り上がる時期です。12月に向けて寄付集めの施策を検討している団体や、来年度の施策を検討している団体も少なくないかと思います。

 

本記事では「Webサイトでのファンドレイジングが失敗する7つの理由」と題して、Webサイトの訪問者が「なぜ寄付をしないのか」その理由からWebを活用したファンドレイジング成功のヒントを考えてみたいと思います。

 

■Webサイトの訪問者が「寄付をしない」7つの理由

Webサイトを活用したファンドレイジングを実践している団体の皆さんは、団体サイトへの訪問者に寄付をしてもらいたいと考えているでしょうし、そのためにサイトへの訪問者を増やすことに日々取り組んでいらっしゃると思います。

 

ただ、実際にはWebサイトに訪問した人のうち寄付をしてくれる人の割合は小さく、ほとんどの人が寄付をせずに去ってしまっているのではないでしょうか。NPOのWebサイトにおける寄付の訴求に限らず、Webサイトで何らかのコンバージョンを訴求している場合にすべての訪問者がコンバージョンしてくれるということはなく、必ずコンバージョンしない人がいます。むしろ残念ながら寄付などのコンバージョンしない人の方が多いWebサイトがほとんどです。

 

では、なぜ訪問者はあなたの団体に寄付をしないのでしょうか?
いくつかの理由を考えることができます。

 

1. 寄付をするつもりがない
2. 寄付を「今は」するつもりがない
3. あなたの団体よりも良い選択肢がある
4. あなたの団体やWebサイトを信用していない
5. 経済的な事情で寄付ができない
6. Webサイトに技術的な問題がある
7. 寄付をする際の負担や障壁が多い

 

細かく考えるとこの他にも多くの理由を考えることができます。特に海外のWebマーケティング関連の情報を見ていると「Webサイトでコンバージョンが発生しない理由」と題する記事をみかけることがあり、Webマーケティングの戦略からWebサイトのデザイン・機能面、サイト訪問者の心理面まで様々な理由が考察されていますが、概ね上記の7つの理由に大別することができるように思います。

 

以下では7つの理由についてなるべく具体的なイメージを示しつつ解説を行います。

みなさまの団体のWebサイトではどんな理由が当てはまりそうか、チェックしながら読んでみてください。

 

1. 寄付をするつもりがない

まず最初の理由は、Webサイト訪問者がそもそも寄付をする意向や関心を持っていないという場合です。

 

寄付そのものやあるいは団体が取組む社会課題自体へ関心を持っていない人にいかに関心を持ってもらうか、というのはとても重要な視点ですが、マーケティング上非常に難しいことも事実です。

 

ファンドレイジングを着実に推進していくためには、まずは少しでも関心を持っている人に寄付をしてもらえるようになることが近道ですので、自団体はどのような人に関心をもってもらいたいのか(関心を持ってもらいやすいのか)ターゲット像をしっかりと検討した上で、情報の発信先や発信内容を決めるというマーケティング戦略作りが重要です。

 

一方で、中長期的には無関心層を引き上げていく、という視点が重要なことも確かです。この場合にはいきなり寄付を求めるのではなく、少しずつ関心度合いを高めてもらうためにまずは何を伝え何をしてもらえれば良いのか、ということを考えるようにしましょう。

 

2. 寄付を「今は」するつもりがない

一つ目の理由と似ていますが、ここで想定しているのは、寄付などのアクションや社会課題自体にはある程度の関心を持っている人の場合です。

 

関心はあるけれど「いますぐに」寄付をする理由はない、という方の場合にはどうすれば良いでしょうか。

 

まず考えられるのは、自団体の事業の緊急性や重要性を伝えるということです。
寄付が足りずに十分な事業ができなかった場合に、受益者あるいは社会にどのような影響があるのかを伝えたり、あるいは取り組んでいる課題を解決できた場合に社会的にどんな良いことがあるのかを伝えるという方法が考えられます。

また、多くの団体が実践していますが、寄付に対する成果のイメージを明らかにするために「3,000円の寄付で◯◯ができます」といった形で使途を表現することも有効です。

 

3. あなたの団体よりも良い選択肢がある

寄付をする団体を決める際に複数の団体を比較して調べるという方は多くいらっしゃいます。
寄付者にとって寄付先の選択肢は無数にあります。その中で、あなたの団体に寄付をしてもらうためには選ぶ理由が必要です。

 

一番大事なことは自分たちが目指している社会や地域がどんなものなのか(ビジョン)を説明し共感をしてもらうことですが、単に自分たちのことだけを語るのでは不十分です。どの団体も素敵なビジョンを掲げて活動をしています。その中で、例えば同じ分野で活動している他の団体と比較して、自分たちの団体は何が違い、どんな強みがあるのかを説明することはできるでしょうか。

 

また、ロジックモデルという考え方も少しずつ広まってきていますが、ロジックモデルを作成したことのある団体はせっかく作ったロジックモデルを団体のWebサイトで公開できているでしょうか。

どんな成果をいつまでに出そうとしているのか、そのためにいくらの寄付が必要であると分かりやすく表現することは、寄付を検討している人が寄付先を検討する上で非常に強力な検討材料になります。

 

会員への訴求の場合は、会員特典を整備することも重要なポイントとなります。まずはその前提として他の団体がどのような特典を用意しているのかしっかりと把握しましょう。

 

4. あなたの団体やWebサイトを信用していない

どんなに良い事業を行っていても、それがWebサイト上に表現されていなければ相手には伝わりません。

 

みなさん自身がインターネット上で買い物をする時のことを思い浮かべてみてください。少しでも不安を感じさせるWebサイトでは買い物をしないのではないかと思います。寄付の場合も同様です。むしろ「お金を託す」という行動だからこそ、信頼性はより重要な要素だといえます。

 

何よりもまずWebサイト自体が団体の信頼性を高めます。
インターネットがすでに十分に普及している日本社会においては、Webサイトはインターネット上における名刺の役割を果たします。Facebookページなどソーシャルメディアのアカウントだけが出てくる団体や検索しても情報が見つからない団体よりはWebサイトがしっかりと用意されている団体が信頼されます。

 

Webサイト自体にもそのデザインや機能、情報の有無など不安を感じる要素は非常にたくさんありますが、まずは基本的な以下の内容が適切かどうか確認してください。

 

  • Webサイトが更新されていない
  • スマートフォン対応など基本的なデザイン・技術トレンドに対応していない
  • 財務情報(活動報告書)が公開されていない(寄付金の使途が明確でない)
  • 代表者やスタッフの顔が見えない

 

5. 経済的な事情で寄付ができない

あなたの団体が寄付をするに値する活動を行っており、Webサイトそのものも信頼性を感じられるものであったとしても、相手側の事情で寄付ができないということもあります。会員からの退会理由としても経済的な事情を挙げる方は必ずいらっしゃいます。

 

もちろん無理をしてまで寄付をしてもらうことは望ましくありませんので、相手の事情をしっかりと受け止めることは何より大切です。とはいえ、寄付を募る側からするとなるべく多くの方にご支援いただく間口を広げたいのがファンドレイジング担当者の心情だと思います。

 

経済的な事情で寄付ができないという理由に対応する方法としてまず考えられるのは、受け付ける寄付の最低金額を引き下げることです。ただし、この手法を取る場合、寄付者全体の平均額を引き下げる要因にもなりますので、団体が想定している寄付者のペルソナ像と合わせて慎重な検討が必要です。

 

もう一つの方法は、古本や古着などモノによる寄付やボランティアなど金銭面以外での支援方法を提示することです。市民の適切な社会参加を促すことは、非営利組織が担う重要な社会的役割の一つであり、それぞれの事情や関心に応じた参加の方法があることはとても大切なことといえます。

 

あなたの団体はどのような社会参加の入り口を用意しているでしょうか。

 

 

6. Webサイトに技術的な問題がある

ここまで5つの「寄付をしない理由」を紹介してきましたが、それらをクリアしさまざまなハードルを越えて寄付をすることを決めてくれた人がいたとして、きちんと寄付の完了までたどり着ける状態になっているでしょうか

 

残念ながら寄付を募っているにも関わらず、技術的な問題から寄付が難しいあるいは寄付ができない状態になっているサイトも見受けられます。あなたの団体のWebサイトでは以下のような問題はないでしょうか。

 

  • そもそもページがつながらない状態になっている
  • セキュリティ面に不安がある(SSL通信への対応など)
  • 決済フォームはスマートフォン対応していない

 

SSL通信については決済システムを導入している場合はシステム側が対応しているため問題はありませんが、Googleは情報を送信するフォーム以外についてもSSL通信に対応しているサイトを優遇するということを発表していますので、サイト全体の対応についても検討が必要です。

 

7. 寄付をする際の負担や障壁が多い

技術的な問題以外にも寄付をしようと思う気持ちを挫いてしまう要素は少なくありません。

 

例えば情報を入力するフォームはどの程度使いやすいでしょうか。フォームで求める情報量は適切か、住所などの入力補助はあるか、入力ミスがあったときのエラー表示は分かりやすかなど、フォームでの離脱率を下げるためのノウハウは「EFO(エントリーフォーム最適化)」と呼ばれ、この技術を専門に扱う会社もあるぐらい奥深い分野です。まずは他の使いやすいサイトと比較しながら自分たちのフォームの課題をチェックしてみましょう。

 

そもそもWebサイトで上での寄付決済に対応しておらず、振込などを促している場合なども寄付をしてもらう機会を逃している可能性があります。初期費用など元手をかけずに使用することのできる非営利組織向けの決済システムも出てきていますので、Webサイトからの寄付を募っていく場合にはぜひ決済システムの導入を検討してみてください。

 

また、疑問点や不安な点を感じた際に問い合わせをする窓口は示しているでしょうか。問い合わせ先を明示している場合、問い合わせ対応はスムーズに行っているでしょうか。問い合わせからよく寄せられる質問については寄付ページ上に「よくある質問」としてまとめて記載しておくことも有効な方法です。

 

余程強く団体のビジョンや事情に共感をしてくれた場合でなければ「なんとなく面倒くさい」と感じることをは寄付をやめてしまう十分な理由になります。寄付をしようという気持ちを持ってくれた人が、スムーズに寄付できるようなサイト設計を心がけましょう。

 

 

いかがでしたでしょうか。

論理的には「寄付をしない理由」をなくしてしまえば、すべての人が寄付をしてくれるはずです(現実的には100%は難しいかもしれませんが。)寄付をしたくなる気持ちのよいWebサイトづくりやWebマーケティングを目指しましょう!

 

ちなみに、本記事は寄付を切り口に紹介しましたが、上記の7つの理由は寄付に限らずボランティアやスタッフ等を募る場合や、事業や活動自体のマーケティングを考える際にも適用できる考え方です。今後のファンドレイジング、マーケティング戦略や、IT投資を検討する際のヒントとして活用していただけると幸いです。

 

Profile

堤 大介

Daisuke Tsutsumi

株式会社PubliCo コンサルタント

1986年北海道生まれ栃木県育ち 筑波大学第一学群社会学類卒。卒業後、2010年に楽天株式会社に新卒入社。新規事業開発系部門にて広告企画、マーケティング、webディレクション、事業開発などに従事し6年間勤務。2011年よりプロボノとして復数のNPOの支援を行い、2015年NPOへのITプロボノ支援NPO Make it Betterの立ち上げに参画し理事・共同代表を務めている。2016年5月よりPubliCoに勤務。

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