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PubliCoジャーナル

NPOのWebサイトにおけるコンバージョン定義のポイント

Webマーケティング

2017.6.21

Writer堤 大介

コンバージョンを定義する

「あなたの団体のWebサイトのコンバージョンは何ですか?」

 

この質問に答えることはできるでしょうか。
本記事ではWebマーケティングを進めていく上での要となる「コンバージョン」について考えていきます。

 

Webマーケティングの目的はコンバージョンを増やすこと

そもそもコンバージョンとは何でしょうか。アクセス解析ツールであるGoogleAnalyticsではコンバージョンは目指すべき目標という意味で使用されています。

 

コンバージョン(conversion)とは日本語で「転換」という意味です。
何が転換するのかというと、サイト訪問者が顧客へと転換するということです。

 

検索やSNSなど様々な経路でWebサイトに訪れる人がいますが、たくさんの訪問者の中から顧客を作り出すことこそがWebマーケティングで目指すべきものということですね。

 

顧客という言葉は金銭を対価とする営利目的の事業の対象者のことを指しているように感じる方もいるかもしれませんが、広く自団体のサービスや活動の対象者という意味で捉えてください。NPOの活動に当てはめた言い方をすれば受益者(自団体の活動で支えたい対象やその家族など)や支援者(寄付者やボランティアなど)という言い方になります。

 

Webサイトの訪問者が受益者や支援者へと転換するすることがコンバージョンということです。
多くの場合、受益者や支援者を増やしていくことがWebマーケティングで目指すべきことですので、Webマーケティングの目的はコンバージョンを増やすことということができます。

 

 

コンバージョンの内容は団体によって異なる

コンバージョンを考える上で難しいのは、その内容が団体毎に異なるということです。

 

先程コンバージョンとはWebサイトの訪問者から受益者や支援者へと転換することであると述べましたが、Webサイト上でどのような行動を取ってもらえれば受益者や支援者へ転換したとみなすのかということを決める必要があり、受益者や支援者のあり方は団体の活動内容や状況によって変わります。

 

受益者の内容が団体によって異なるのはイメージがしやすいかと思いますが、支援者についても単に寄付者やボランティアということではなくどのような支援を求めているのかは活動内容や状況によって異なってきます。

 

例えば、

 

  • 寄付は募集しておらずボランティアを募集している
  • マンスリーサポーターを募集している
  • クラウドファンディングの支援者を探している
  • 個人ではなく法人からの支援を募っている

 

など、必要な支援の方法はさまざまに考えられます。

 

みなさんの団体では現在、受益者や支援者をどのように定義できるでしょうか。
Webマーケティングの担当者は何よりもまず、この点を考えコンバージョンの内容を明確にすることから始める必要があります。

 

逆にコンバージョンが明確でないということは、Webサイトの訪問者に何をして欲しいのかがはっきりしないサイトということになりますので、サイト上で行う情報発信も誰向けのものなのか曖昧になり伝わりにくいものになってしまう可能性があります。

 

 

NPOのコンバージョン定義のポイント

NPOのWebサイトのコンバージョン定義のポイント

コンバージョンを定義する上では以下の2つの点を考慮することが必要です。

 

  1. 自団体(のビジョン・ミッション)にとって望ましい行動
  2. 自団体で計測可能な行動

 

1についてはここまで述べてきたことと同じです。
自団体のビジョン実現・ミッション達成にとって望ましい行動をとった人を顧客(受益者や支援者)とみなすということですね。

 

支援者向けのマーケティングを例に考えてみると、自団体にとって望ましい行動は、「寄付の申込」「ボランティアの申込」「イベントへの参加」、さらには「自団体が取り組んでいる社会課題についての認知」などいくつも考えることができます。

 

サイト訪問者にして欲しい行動がいくつもある(コンバージョンが複数ある)ということは戦略が複雑にはなりますが、悪いことではありません。大切なのはそれぞれのコンバージョンに対して2つ目の条件「自団体で計測可能な行動である」を当てはめていくということです。

 

自団体で計測可能であるとはどういうことかというと、担当者が欲しいと思った時に参照できるデータであるということです。

 

「寄付獲得」や「ボランティア申込」「イベント申込」は件数や金額を数えれば良いということが直感的に分かりやすいかと思います。
では「社会課題についての認知」の場合はどうでしょうか。

 

この点を明確にしていくためには、Webサイト上でどのような行動を取ってくれたら「社会課題について認知したと言えるか」を考えていく必要があります。

 

例えば、「ある社会課題について詳しく知っていると答えた人の数」はデータとしてはありえますし、そのようなデータを取るための調査を行うことも不可能ではありませんが、Webマーケティングをしていく中で欲しいと思った時に参照できるとはなかなか言えませんので、Webマーケティングの目標となるコンバージョンの指標としては適さないといえます。

 

一方で、

 

社会課題について説明したページをページ用意し、ページを読んだ人の数

 

ということであれば、Webサイト上で計測していくことができます。

GoogleAnalyticsなどのアクセス解析ツールを使用することで特定のページが閲覧された回数や閲覧した人数を計測することができます。ページを訪問した人がどれくらい内容を読んでくれているかの参考にするためにページを訪れた人の平均滞在時間という指標も使うことができます。

 

また、単にページを読んで欲しいということではなく、さらにその一歩先の行動までを目指していきたい、と考えることもできます。その場合例えば、

 

社会課題のページを他の人にシェアすることで社会課題の認知拡大に参加する人の数

 

という行動であればWebサイト上で計測することが可能です。

 

このように、Webサイト上でどのような行動をどこまで取ってほしいのかを考え、その行動を取ってくれる人が増えるように工夫していくというのがWebマーケティングの施策の考え方です。

 

なお、「特定のWebページを読む」と「Webページをシェアする」という二つのコンバージョンは択一の指標ではなく、一人の顧客に取ってほしい行動の段階として捉えることもできます。顧客にとって欲しいコンバージョン行動を段階的に考えていくということは、ファンドレイジングでよく使われるステークホルダーピラミッドとWebマーケティングを連動して考えていくということにもつながりますが、やや複雑になるため本記事では省略します。
(参加者募集中のセミナー「Webマーケティング戦略概論」では解説を行う予定です。興味のある方は本記事下部をご覧ください。)

 

 

コンバージョンは状況により見直していく

特定のWebページを読むことやシェアをするという行動が、実質的に社会課題の認知につながっているのか?という疑問を持つ方もいるもしれませんが、定義するコンバージョンはあくまでも仮説と捉えましょう。

 

設定する仮説が間違っている可能性はありますが、仮説でも良いので基準を設けることで、少なくともその基準に対して成功しているのか失敗しているのかという状況判断をすることができます。仮説は間違っていれば修正すれば良いですが、そもそも基準がなければ改善を意識したPDCAを回すことはできず仮説が正しいのかという疑問を持つこともできなくなってしまいます。

 

実際にPDCAを回しながらWebマーケティングが自団体のビジョンの実現やミッション達成につながっているのかを定期的に見直していくためにも、まずは、Webサイトの訪問者がサイト上でどのような行動を取ってくれると嬉しいのか?というコンバージョンの定義を行うことが大切です。

 

 


以上、本記事ではNPOのWebサイトにおけるコンバージョンについて考えてきました。
ぜひ一度自団体のコンバージョンは何なのかを今一度見直してみてください。

 

 

参考記事

本文中で言及したアクセス解析ツールGoogleAnalyticsについては以下の記事で基本的な指標の解説を行っています。興味のある方はぜひご覧ください。

 

NPOのマーケティング担当者がまず知るべきGoogle Analytics7つの基本指標

 

 

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Profile

堤 大介

Daisuke Tsutsumi

株式会社PubliCo コンサルタント

1986年北海道生まれ栃木県育ち 筑波大学第一学群社会学類卒。卒業後、2010年に楽天株式会社に新卒入社。新規事業開発系部門にて広告企画、マーケティング、webディレクション、事業開発などに従事し6年間勤務。2011年よりプロボノとして復数のNPOの支援を行い、2015年NPOへのITプロボノ支援NPO Make it Betterの立ち上げに参画し理事・共同代表を務めている。2016年5月よりPubliCoに勤務。

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