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PubliCoジャーナル

【事例】”実績の見える化によりチームのモチベーションが上がった”―認定NPO法人テラ・ルネッサンス様

Webマーケティング

2017.4.11

Writer堤 大介

今回はコンサルティング支援の事例をご紹介いたします。

 

PubliCoのコンサルティングはさまざまなテーマを扱っています。組織のビジョン・ミッションに関わることもあれば、ファンドレイジング基盤の強化のためのご支援をさせていただくこともあります。その中でも今回は「Webマーケティング体制を整える」ことをテーマにご支援をした認定NPO法人テラ・ルネッサンスさんの事例です。

 

 

テラ・ルネッサンスの延岡さん(左)と小田さん(右)

 

テラ・ルネッサンスさんへのご支援はPubliCoとして年間を通して実施しましたが、今回はその中でも特に2016年12月から2017年2月までの募金キャンペーンを通して団体内での「WebマーケティングPDCA体制づくり」を実施したことについてテラ・ルネッサンスの小田さんと延岡さんに取り組んだ内容や感想をうかがいし、PubliCoコンサルタントの堤からも伴走支援中の考えを話してもらいました。

 

団体概要

団体名:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

本社 :京都府京都市

代表者:理事長 小川真吾

URL  :https://www.terra-r.jp

 

支援概要

 

―テラ・ルネッサンスの活動内容を教えてください。

(小田さん)認定NPO法人テラ・ルネッサンスは、「すべての生命が安心して生活できる社会(世界平和)の実現」を目的に、2001年に設立されたNPO法人です。「地雷」「小型武器」「子ども兵」という3つの課題に対する支援活動に加え、国内の「平和教育」における啓発・政策提言活動の両面から、本質的な課題解決に取り組んでいます。主な活動地域はアジア・アフリカで、カンボジア、ラオス、ウガンダ、コンゴ、ブルンジ、日本の6か国です。また、2011年3月11日の東日本大震災後、「ともにつながろう(ともつな)」基金を設立し、大槌復興刺し子プロジェクトを中心とした被災された方の生活再建のための支援活動を行っています。

 

(堤)テラ・ルネッサンスさんへのご支援はPubliCo設立前から始まっており、ファンドレイジング基盤整備のための「ファンドレイジングチームづくり」というテーマでご支援をしておりましたが、昨年4月からはPubliCo設立後の新たな体制として、大きく2つのテーマでのご支援をおこなってきました。まず一つ目が主にテラ・ルネッサンスさんの幹部メンバーが行う「中期ビジョン策定」に対してのご支援で、これは山元が担当しました。そしてもう一つがファンドレイジング支援で、こちらは長浜・堤がファンドレイジングチームの皆さんに伴走させていただきました。

 

―団体の中での役割を教えてください。

(小田さん)パブリック・リレーションズチーム(以下PRチーム)のマネージャーとして、主に組織全体の広報およびファンドレイジング業務のマネジメントに携わっています。

…2016年度末までは『広報・ファンドレイジングチーム(以下FRチーム)』という名称

 

(延岡さん)昨年10月より、弊団体のフェローシップとしてPRチーム(旧 広報・FRチーム)に所属し、主に2つの役割を担っていました。1つ目は助成金の管理、2つ目はウェブマーケティングの分野です。助成金に関しては、募集情報を収集・リストアップして応募案件を確定し、申請書の作成や申請書類の発送作業、また採択済みの案件に対しては報告書の作成を職員と連携するなど、助成金の管理全般を担っていました。ウェブマーケティングについては、昨年12月より実施していた募金キャンペーン開始に合わせて、PubliCo 堤さんのサポートのもと、主にGoogle Analyticsによるアクセス解析・分析を担いました。

また、2017年4月からは海外事業部アジア事業担当の職員となり、主にカンボジアに駐在して現場での支援事業に従事します。加えて、これまでの助成金管理とアクセス解析を継続して担い、海外からも国内での広報やファンドレイジングを支えていきます。

 

―今回のキャンペーンの概要を教えてください。

(小田さん)団体の既存支援者をはじめ、潜在支援者に対して『都度寄付』を呼びかけ、2016年12月から2月にかけて実施した冬の募金キャンペーンです。本キャンペーンは、例年の同時期に実施しているFR施策のひとつですが、今回は団体設立15周年という時期にあたることから、例年よりも実施期間を長く設け、かつ、期間内でのメインメッセージを2種類にわけるという新しい手法に取り組みました。結果、913万円(寄付件数333件)のご支援をいただき、団体がこれまでに実施したFRキャンペーン(都度寄付)における過去最高の寄付実績となりました。

 

(堤)2016年度はテラ・ルネッサンスさんにとって団体設立15周年という大切な年でしたね。年間のファンドレイジング全体では継続的なご支援をいただく「ファンクラブ会員(マンスリーサポーター)」を増やしていくことを重視し夏季にはファンクラブ会員の増加を主な目的としたキャンペーンを実施しました。一方で冬季のキャンペーンでは15周年という節目に、団体としてさらに広く支援を募るという目的設定や、事業や活動地ごとに支援者に向けたメッセージを打ち出すことや集客施策としてFacebook広告に挑戦されるなどキャンペーンを通してのファンドレイジングチームとしての課題設定を小田さんを中心にしっかりと行っていましたね。

 

PDCAを回すためには実績の管理が必須

 

―小田さん、キャンペーンの中で延岡さんにどのような働きを期待していましたか?

(小田さん)Webマーケティング業務でも、特にGoogle Analyticsを活用したWebの分析業務を担ってもらうなかで、チームのオンライン広報における施策実施後の実績の見える化を期待しました。

 

(堤)ファンドレイジング支援では長浜・堤とファンドレイジングチーム全体でのコンサルセッションを月に一度対面で行うことに加えて、小田さんと堤で月に一度オンラインでのセッションを行い施策の進捗確認などを行っていました。秋頃からはWebマーケティングにより力を入れるためにオンラインセッションに延岡さんが加わり、2017年4月に入職される延岡さんにWebマーケティングのKPI管理・分析を担当していくためのトレーニングを行っていきました。

まず、11月に一度ファンドレイジングチーム全体に向けてWebマーケティングの講義を行い、基本的な考え方についての共通認識を持ってもらい、その後専任の担当者となる延岡さんにチームでWebマーケティングを実践していくためのより細かな考え方をお伝えしていく、という流れで進めていきました。

 

―延岡さんは今回のキャンペーンを通してどのようなことを学びましたか?

(延岡さん)キャンペーンでは毎回多くの学びがあるのですが、今回は特にアクセス解析に着手した点が大きな収穫だと感じています。と言いますのも、現地駐在員として職員採用のお話をいただいた際、私は現場にいながら日本国内におけるファンドレイジングを支えるスキルを身に付けたいと考えていました。そのことを、チームマネージャーの小田に相談したところ、ちょうどPubliCo様のコンサルティングを受けてWebマーケティングにもリソースを割くということで、その役割を担うことになりました。

この分野に関しては全くの素人であったにもかかわらず、堤さんの丁寧なご指導のおかげでGoogle Analyticsの基本的な使い方や、数字の管理、それらの集計をもとにしたチームへの報告など、3ヶ月間のキャンペーン期間中に目指していた到達点にまでたどり着くことができました。

これまで組織として着手できていなかったアクセス解析をとり入れたことで、感覚だけではなく、数字というevidenceをベースに議論や施策の改善ができた点は、今回のキャンペーンだけでなく、今後のファンドレイジング施策においても非常に大きな進歩だと思います。

 

(堤)基本的な指標の説明やWebマーケティングの考え方、GoogleAnalyticsの見方などをお伝えした後は、延岡さんに実際に考えて手を動かしてもらいながら進めていきました。例えばWebマーケティングのKPI設定でも単純に重要な指標を教えるということではなく「テラ・ルネッサンスのファンドレイジングにとって重要な指標は何か?」という問いを投げ、その数値を管理するフォーマットもご自身で作成することを求めました。その後はとにかく実践です。いきなりサイト全体の管理を始めるのではなく、今回はまずは冬季キャンペーンの特設ページに絞ってその数値管理を実際に行うことで実践的な力を身に着けていっていただきたいと考えていました。

 

―チームにとってどのような変化がありましたか?

(小田さん)オンライン広報における施策実施後の実績の見える化が実現されたことにより、チームのモチベーションが向上しました。本キャンペーンにおける指標は、その主なものが寄付金額や寄付人数でした。チームメンバーがオンライン広報業務に従事するなかで、実際の寄付に繋がるまでのプロセスが不明瞭だったため、施策実施における手応えの掴み辛さという問題を解決することができました。チームメンバーのそれぞれが、延岡に対して積極的に質問していた姿が印象的です。

 

(堤)元々今回のキャンペーンの目標としては「数字を記録し、確認すること」に担当である延岡さんに慣れてもらい、チームでPDCAを回していくための基礎体力をつけてもらうことまでを狙っていたのですが、私の予想を超えたスピードで一気に進みましたね。延岡さんがチームのMTGで数字を元にした分析結果を報告し、それを元にチームで改善策を話し合うというところまで進んだという話を伺ったときは驚きました。延岡さんからいただく質問も日毎にレベルアップして、キャンペーンが終わる頃にはちょっとした企業のWeb担当者も顔負けなテクニカルな質問を次々にいただくようになりました。

 

実績を分析するといろいろ見えてくる

 

―支援を受けてのご感想をお願いします。

(小田さん)とても良い結果を提供いただいています。当会はこれまで、オンライン広報に注力する一方で、分析作業の不十分さにより、業務遂行における“指針”が不明瞭になりがちでした。今回のキャンペーンでその基礎となるノウハウを提供いただいたおかげで、今後すべてのオンライン施策の分析に活用できるとともに、チームメンバーの作業効率の向上と、精神的な負荷を軽減することができると感じています。一方で、今後の課題として挙げられる点は、今回実施した分析作業の恒常化と改善施策への展開です。総じて、PDCAを適切に回していくための要所となる支援内容であったため、今後のチームひいては組織全体の更なる成長が期待されます。

 

(延岡さん)まず最初にお伝えしたいのは、感謝の気持ちです。本当にありがとうございました。これまで組織としても、個人としても積極的に取り組んでこなかったアクセス解析をとり入れることができたのは、PubliCo様のコンサルティングのおかげです。今回、メインで担当してくださった堤さんをはじめ、経験豊富なコンサルタントによるサポートはとても心強いものでした。

ご多忙にもかかわらず、素人レベルの質問にも、時にはビデオ通話を用いて迅速かつ丁寧にご対応いただけたことが、私自身のスキル向上のスピードを高めてくださいました。また、 市民をいかに巻き込むかがひとつの重要なポイントであるNPO・NGOだからこそ、 ウェブマーケティングに取り組む必要性があると、実際にアクセス解析の運用を進めていく中で実感しました。

情報過多の社会で、不特定多数を対象としたツールからいかに共感・仲間を集めることができるか。これを論理的かつ戦略的に実施していくために、今後もさらにスキルを磨いていきたいと思います。

 

(堤)嬉しいお言葉をありがとうございます。KPIなど数字を管理していくということに対して「数字ばかりを無機質に追いかける」「売上至上主義」というようなあまり良くない印象を持たれている方もいらっしゃるかと思いますが、数字を管理していくことの意味は数字自体にあるのではなく「自分がやったことの結果を振り返る」ということにあります。NPOの活動にはなかなか数値化しにくいものも数値化に適さないものもあるかと思いますが、ことマーケティングという機能においてはしっかりと数字を分析していくことが重要であり、効果的です。自分たちの工夫や頑張りを実感することができたり、良くなかった部分を次の施策に活かすということができるようになると、小田さんの言葉にもありましたが「モチベーション」が上がっていきます。数字の管理自体は無機質などではなく、現場の担当者が自分の業務の役割や意味を感じ、やる気を出していくことにもつながるのです。中でもWebに関わる業務は数値化できるものが多く、数字を管理、分析し、PDCAを回していくことに非常に適しています。テラ・ルネッサンスさんのファンドレイジングチームの活動がさらに加速していくことを願っています!

 

 

Profile

堤 大介

Daisuke Tsutsumi

株式会社PubliCo コンサルタント

1986年北海道生まれ栃木県育ち 筑波大学第一学群社会学類卒。卒業後、2010年に楽天株式会社に新卒入社。新規事業開発系部門にて広告企画、マーケティング、webディレクション、事業開発などに従事し6年間勤務。2011年よりプロボノとして復数のNPOの支援を行い、2015年NPOへのITプロボノ支援NPO Make it Betterの立ち上げに参画し理事・共同代表を務めている。2016年5月よりPubliCoに勤務。

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